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MDMとは「Mobile Device Management(モバイル端末管理)」の略であり、スマートフォンやスマートタブレットといった複数のデバイスを一元管理するためのツールです。
従業員にそれぞれ業務用デバイスを貸与している企業の場合、MDMを導入することで各デバイスの管理や設定といった作業の効率化が可能。管理者の負担を軽減しながら、セキュリティインシデントについてのマネジメントを適正化できることが特徴です。
MDM導入で得られる効果の一例として、以下のようなものがあります。
MDMには様々な種類があり、作業内容や業界ごとの特性に応じて比較検討することが大切です。
飲食業と宿泊業を営む株式会社小倉では、特に外回りの多い営業担当者の作業用デバイスとしてiPadを導入し、また配送センターにはAndroidスマートフォンを導入することで、それぞれの部門における作業効率の促進と従業員同士のコミュニケーション強化をサポートしています。
スマートデバイスの導入に際して、会社から貸与した機器だからといって従業員が利用時に萎縮しないよう、必要最低限のルールを除いて厳しい利用制限は課さなかった同社ですが、一方でセキュリティ管理については徹底する必要があり、万が一に備えてMDMを導入しました。これにより、例えば営業担当者が社外でデバイスを紛失するといったリスクに対しても、MDMを使った遠隔操作による端末管理を徹底することで、情報漏洩などのトラブルを回避できるようになっています。
産業機械や航空機、車両などの製造に携わっている新明和工業株式会社では、複数の事業拠点や部署の連携を強化して情報へのアクセスを効率化できるよう、従業員へiPhoneやiPadといったデバイスを貸与しました。しかし、新製品に関する情報や特許技術も扱うメーカーゆえに重要な機密情報の漏洩リスクにも備えなければならず、スマートデバイスのセキュリティ管理ツールとしてMDMを導入しています。
MDMによってブラウザのフィルタリングを行い、業務に無関係なウェブサイトへのアクセスを制限したり、情報セキュリティの観点からリスクのあるアプリの利用を禁止したりといった対策が実現しています。また、従業員が勝手に必要な管理ツールやMDMプロファイルを削除してデバイスを私的利用するといった不正を防止している点も重要です。
三井住友海上火災保険株式会社では、2009年から販売プロセスの刷新を目指して「販売イノベーション」を掲げており、そのための具体的な手法としてスマートタブレットを活用した業務フローの確立を実施しています。具体的には、全社で約6,000台のタブレット端末を導入して従業員に配布し、保険商品の営業・販売活動の効率化を推進しました。
一方、タブレットの導入に当たっては金融系企業として高度なセキュリティポリシーについても配慮することが必要であり、デバイスの紛失や盗難、従業員の不正利用といったリスクに備えられるよう、MDMを導入して情報漏洩などのセキュリティインシデントを予防している点が重要です。
また、アプリのリモート配布や一括インストールといった機能によって、業務の利便性や効率性を高めていることもポイントです。
関西圏を拠点として全国へ運輸サービスを提供しているワールドライン株式会社では、2020年4月の改正道路交通法の施行に伴って、大型トラックを運転する長距離ドライバーのアルコールチェックを強化する必要がありました。そこで同社では各ドライバーへ業務用スマートフォンとBluetooth対応の携帯用アルコール検知器を配布し、モバイルアルコール検知器としての運用をスタートさせました。
また、スマホの私的利用を制限して危険なアプリの使用などを防げるように、MDMを導入することでデバイスの一元管理やアプリの一括調整をサポートしている点も特徴です。
その他、一層の安全対策として、今後はスマートフォンだけでなくスマートウォッチも導入し、ドライバーの健康状態についてのリアルタイムのモニタリングといった活用法も検討されています。
平竹クリニックは1954年創業の産科クリニックであり、院内に16床の病床と個室を備えています。また平竹クリニックでは母子の快適なリラックスタイムをサポートできるよう、医師や助産師が連携して時代に合わせた工夫や取り組みを実践しており、その一環として各個室へのiPad導入を行いました。
また、スタッフだけでなく患者も利用できるタブレットだからこそ安全管理やセキュリティ対策が必須であり、それらを一元管理するツールとしてMDMを導入しています。
タブレット導入によって患者向けのサービスやサポート業務が拡充し、スタッフの負担も軽減したことで助産師として本来の業務へ集中できるようになった結果、顧客満足度の向上も達成できました。加えて、業務面で余裕が生まれたことにより、新しいサービスの創造へつながっていることも魅力です。
学校名:さとえ学園小学校
使用端末:iOS / iPadOS
目的・課題:レベルアップ型ルールを設けた情報リテラシーの育成
きっかけ:情報リテラシーが発達段階にある小学生のために、安心安全な環境をMDMで築き子どもたちが活用できる環境が大切と考えたため
効果:レベル別でiPadの自由度を設定することで、早くレベルアップしたいという意欲を持たせ、ルールを意識しながらiPadを使用できるようになった
学校名:岩田中学校・高等学校
使用端末:iOS / iPadOS
目的・課題:生徒の情報リテラシーに考慮したiPadの活用
きっかけ:2019年度から本格的にiPadによる1人1台環境をスタートしたため
効果:教師と生徒全員に配布されたMicrosoft 365 Education のアカウントによってApple IDを紐付け、シングルサインオンの環境を構築することに成功。
学校名:東海大学付属相模高等学校・中等部
使用端末:iOS / iPadOS
目的・課題:ICTを活用した多様な学びの実現
きっかけ:グループ校の取り組みを見て安心・安全な運用にMDMが必要と判断したため
効果:教師がアプリを配信する負担を減らしながらも、それぞれの生徒に合ったアプリを選べるように。
MDMは機能制限を行うことによってセキュリティを高めることができます。しかし、過度な機能制限はかえって利便性を下げることにもつながってしまうのです。実際に、セキュリティを重視しすぎることによって利便性が大きく低下し、無許可のBYODが横行してしまったという失敗例があります。
セキュリティを高める目的でMDMを導入したのに、かえって紛失や盗難が増加してしまったケースも少なくありません。MDMを導入することでモバイル端末が日常業務で利用されるようになることが起因していると考えられます。
MDMサービスにはセキュリティ機能の限界があり、企業によっては自社のセキュリティ面強化のために別途セキュリティツールを導入しなくてはいけないケースもあります。そのために、MDMシステム導入でセキュリティコストの負担が増加してしまうという失敗が起きてしまうのです。
利便性と情報セキュリティをバランスよく導入することが出来ないと、先ほど紹介したような失敗例につながってしまいます。MDMを導入する際には、事前に自社の目的や課題、スケールに合ったMDMサービスを選定するようにしましょう。
手厚いサポートが期待できる国産MDM18社(※)のうち、月額費用の最低料金が1台165円からとお安く、無料トライアルのあるMDM4つを厳選しました。
※2021年2月時点で、日本国内で利用でき公式HPが存在しているMDMのうち、国産のものを選出しています
※2018年度、エンドポイント管理史上のマーケティング分析(株式会社テクノ・システムリサーチ社)より
参照:mobiconnect公式HP(https://www.mobi-connect.net/)